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Fujikawaguchiko Masjid Story

إِنَّ أَوَّلَ بَيْتٍ وُضِعَ لِلنَّاسِ لَلَّذِي بِبَكَّةَ مُبَارَكًا وَهُدًى لِّلْعَالَمِينَ

3-Al-Imran 96

CONTENTS

1.Prologue(序章)

2.Seeking the Land of Allah(アッラーの地を求めて)

3.The Guidance of Allah(アッラーの導き)

4.Muslims Gathering(集いしムスリムたち)

5.Dangers to come(訪れる危難)

6.The One Who Bears It All(すべてを背負う者)

Prologue


「أَوَلَيْسَ الَّذِي خَلَقَ السَّمَاوَاتِ وَالْأَرْضَ بِقَادِرٍ عَلَىٰ أَن يَخْلُقَ مِثْلَهُم ۚ بَلَىٰ وَهُوَ الْخَلَّاقُ الْعَلِيمُ」

— 36-Ya-seen 81

アッラーは全知全能の神である。アッラーの他に神はいない。アッラーは唯一神である。

これは、日本一の富士山を見据える河口湖に建つ「富士河口湖マスジド」のはじまりの記録である。

河口湖は、2019年多くの外国人観光客が訪れる観光地域として、賑わいを見せていた。四季を通じて、一年中を様々な顔で魅了する日本でも有数の観光名所である。そんな河口湖は国内でもいち早くムスリムへのインバウンド対策に取り組んだ観光地域であり、山梨県の観光課をはじめ、富士河口湖観光連盟のリーダーがイスラムに理解を示し、共生する道を探し、模索しながら構築していった日本でも将来を見据えた観光に真剣に取り組んだ地域でもある。

その関係は、2013年まで遡る。山梨県との繋がりはイスラムとは関係のないところから始まった。数奇な繋がりは必然の繋がりのなかで形作られていく。人と人との複雑な想いが繋がり、2020年にひとつのマスジドが生まれるきっかけとなる。アッラーは全てを見ている。

ある1人の日本人の男がいた。もちろん、イスラム教とは無縁である。

2012年にイスラムを知り、探求心の強さから、深くその造詣に興味を示していく。日本政府はマレーシアとの協力体制を打ち出したため、マレー続きのイスラム、特にマレーシアのハラールが日本を席巻していった。しかし、イスラムに深い国は沢山あり、認証においても海外には様々な団体が存在していた。そのため、インバウンド立国として国内のハラール化が進むなか、2013年にインドネシア・ウラマー評議会(Majelis Ulama Indonesia:通称;「MUI」)に進言し、2014年のはじめに国内でインドネシアのハラールについての講演を実施。その際も多くの日本人がイスラムとハラールを学びながら開催を支援していた。また、国土交通省を訪問し、将来の観光立国を目指し、イスラム及びハラールについての意見交換を行った。さらに同年2月には、国土交通省政務官がハラール視察にインドネシアのジャカルタを訪れる。数奇な流れは、さらに続き、同年6月にインドネシアで開催された第1回OICイスラム観光会議において、インドネシア政府から2名の日本人宛に招待状が届く。公務のため欠席を余儀なくされた1名の書簡を携え、OIC各国の大臣が居るなかで、その書簡を読み上げた。

「日本がイスラムを受け入れる準備をしている。」

参加国のすべてがそう思った瞬間である。イスラムの世界会議において、日本がイスラム圏の国々に門戸開放を示したのである。繋がりは構築され、やがて信頼を築き、より強固な繋がりとなる。

2014年8月様々な苦難を乗り越え、インドネシア人とパキスタン人、日本人及び支援団体で構成された集団は、日本ではじめてとなるイスラム サミット「JAPAN HALAL SUMMIT2014」の開催に至るのである。その際に、日本の観光団体として、海外のイスラム列国と唯一協定を締結したのが、山梨県の富士河口湖観光連盟である。山梨県と富士河口湖町は、どこよりもさきがけて最先端を見据えていたのかもしれない。そして、このときから、富士河口湖マスジド開設の布石が打たれていたのかもしれない。

ある男は、そのすべてに真剣に取り組み、考え、全力でぶつかっていた。それが日本にとって良いことだと信じて。しかし、そこから信じられないような裏切りと複雑な人の想いから、数奇な流れへといざなわれていく。イスラムが良い信条であっても、人までが良い人であるとは限らない。ある男は、ムスリム全員が良い心を持っていると信じていた。ムスリムの裏切りは、その後のある男のすべてを破壊した。ある男はすべてを失った。すべてである。

すべてを失った後、周囲の日本人は手を差しのべることはなかった。落ちるという表現が適切かもしれない。ある男を救ったのは、ムスリムであり、富士河口湖の人々であった。それから、ある男は考えた。1ヶ月後、どうすることが一番良いのか。責任を押し付けたムスリムらは、その全てから逃げ、ある男の責任にした。ある男は考えた。己と向き合い、自らが正しい行動規範のもと、人として、ムスリムとしてイスラムと向き合うべきだと。イスラムの正しい理解を示すために、自らの行動と活動を示していくことが大切だと。

まずは10年の計画を打ち立てる。
・多くのムスリムと対話し、ムスリムの本質を見極める。
・イスラムの造詣を学び、イーマンとして自らを確立する。
・マスジドを建立し、イスラムを広げるための体制をつくる。
・日本の将来を見据え、より多くのイスラム市場への知見をつくる。
・イスラムと日本を繋げるために最善を尽くす。

その行動に規範をもって臨むことで、イスラムを実践し探求していく道を選択した。富士河口湖マスジドができる6年前のできごとである。

アッラーはその全てを知っている。

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